専門外来のご案内
足は第二の心臓とも言われ、二足歩行の形態で進化した我々人類にとって足は非常に大切なパートナーです。足にできた傷が治らない、固いタコができて歩けない、といった足の問題を抱えていると、患者さんの生活の質(Quality of Life: QOL)が著しく低下します。特に高齢者では活動性が低下し、寝たきりになってしまうこともあります。このような患者さんの歩行を守るのがフットケアです。
当院のフットケア外来ではまず形成外科外来で診療を行った上で、糖尿病の認定看護師の診察や義肢装具士の介入が必要であると判断した場合にフットケア外来での診療を行っております。他院からのご紹介や受診希望の方はまずは形成外科外来を受診していただきます。
糖尿病は今や国内で1000万人を超す患者数となっており国民病と言っても過言ではありません。糖尿病は様々な症状を呈する病気ですが、簡単に言えば血管が障害されていくことで三大合併症と言われる病態となります。視力や視野が障害されていく網膜症や、透析にまで至る腎症はよく知られておりますが、感覚神経・運動神経・自律神経が障害される神経症から足の変形や壊死してしまう足病変に直結しているということはあまり知られていないように思われます。
足は目から一番離れた臓器であり、その目が見えなくなってしまうことや神経症によって感覚が麻痺していき傷に気付くことができなくなってしまうことによって発見されたときには進行してしまっているという患者さんをしばしば経験します。
ですので早期発見はもちろん自宅で入念に足の観察を欠かさないことが非常に大切ですが、我々医療従事者も皆さんの目となり足を守っていく必要があると考えております。
高血圧や高脂血症、糖尿病になると、血管が障害され動脈硬化を起こします。動脈硬化とは、コレステロールや中性脂肪などが血管に溜まって、詰まったり硬くなったりするものです。下肢の大血管が詰まると、閉塞性動脈硬化症(ASO: arteriosclerosis obliterans)といって、足先に血液がいかなくなり、潰瘍を生じます。ASO以外にもバージャー病や血管炎などを含めて、末梢動脈疾患(PAD: peripheral arterial disease)と言われます。PADにはFontaine分類があります。
Ⅰ度 | しびれ、冷感 |
---|---|
Ⅱ度 | 間歇性跛行 (ある程度歩くと足の痛みが生じ、一旦休憩するとまた歩けるようになる) |
Ⅲ度 | 安静時疼痛 |
Ⅳ度 | 潰瘍、壊死 |
糖尿病性足病変と同じく病院内の内科(循環器内科)や近隣内科クリニックと連携し治療にあたります。
下腿は傷の治りが遅く、潰瘍のできやすい場所です。高血圧、高脂血症や糖尿病などの基礎疾患があればなお潰瘍ができやすくなります。さらに喫煙や運動不足などの生活習慣で悪化します。
潰瘍の原因になる下腿に特有なものは、静脈鬱滞性潰瘍です。下肢の静脈瘤や下肢静脈の還流異常から生じるとされます。長時間の立ち仕事や下腿の浮腫が原因になります。他、膠原病や前述のPADによってもなり得る疾患です。
足底腱膜炎や、アキレス腱炎、関節炎など、過剰な運動付加や過重が加わることによって生じます。また重症なものでは骨の変形をきたすこともあります。これらは装具外来でインソールを含めた装具を作成することにより改善します。
さらに、胼胝(たこ)・鶏眼(うおのめ)、巻き爪・陥入爪、外反母趾・内反小趾、痛風結節などもよくある疾患です。胼胝や鶏眼は適宜削ったり、角質を柔らかくする貼り薬を使ったりすることもあります。巻き爪・陥入爪では、正しい歩行指導、グラインダーによる爪の剥削、矯正具の装着、さらに手術を行う場合もあります。また、これらは装具外来や爪外来でも診療しています。