TEL03-3822-2131FAX03-5685-3076

〒113-8602 東京都文京区千駄木1-1-5MAP

専門外来のご案内

手足の外科外来

手足の外科外来について

”手足の診療”というと整形外科のイメージをお持ちかもしれません。日本医科大学では、整形外科でも診療をおこなっていますが、 形成外科に手足の診療に特化した専門外来を開設し、形成外科としての強みを最大限に生かした手足の診療をおこなっています。

そもそも形成外科って何? 

と疑問に思う読者も多いと思います。端的に申しますと、皮膚科を”皮膚の内科”とするならば、形成外科は”皮膚の外科”になります(図1)。また、整形外科が体の深くにある骨や筋肉を扱う科であるのに対して、形成外科は体の比較的浅い部分にある皮膚・腱・神経・血管などの治療を得意としています。また、顕微鏡手術(マイクロサージャリーとも呼びます)による細かい神経や血管の修復を得意とし、常に”綺麗なきずあと”を追求しています。つまり形成外科は、「見た目を重視し、患者さんのQOL(人生の質)向上のお手伝いをする科」ということができます。そのため、最も見た目が重視される顔は、土台(骨)〜表面(皮膚)まで、すべてを形成外科が扱います(前述の ”骨は整形外科”という原則の例外です)。

形成外科とは

図1. 形成外科は患者さんのQOL向上のお手伝いをする科

さて手足はどうでしょう?

手は顔と同様に人前に出す機会が多いため、「手は第2の顔」と呼ばれます。手の所作によってその人の印象が変わりますし、手は年齢がでやすい体の部位でもあります。われわれ手足の診療斑では、マイクロサージャリーの技術を駆使して、手の土台(骨)〜表面(皮膚)まで、良好な機能(=よく動く、痛くない)で、且つ、見た目もきれいな手足を追求しています。

取り扱う疾患

手足のけが・やけど

手足は顔と同様に露出部であり、けが・やけどを受傷しやすい部位です。当院では、切断してしまった指を顕微鏡手術で元に戻したり、神経断裂、腱断裂、靱帯損傷、骨折など手足に関わるすべての外傷を診療対象にしています。けが・やけどを受傷された患者さんの機能(動き)と整容(見た目)を同時に改善することを常に心がけて診療しています。例えば、図2のように指先に皮膚移植が必要な場合、欠損の近くの皮膚(similar tissue)をつかって治療すると見た目もきれいですし、感覚の戻りもよいです。また、手足のけが・やけどでは、術後のリハビリテーションが手術と同じぐらい大切です。われわれは作業療法(ハンドセラピスト)と協力しながら、患者さんの日常生活・学校・職場復帰をサポートしています。

図2. 痛みがなく、よく動く、 きれいな手足を目指します

図3. 皮膚移植をせず人工真皮をもちいて治療することもあります

図4. 土台(骨)〜表面(皮膚)まで一貫して形成外科で治療します

手足の変形・ひきつれ

けが・やけどの後に指の形が変形してしまったり、皮膚のひきつれが原因で指が動かしづらいことを悩んでいる患者さんは大勢います。リハビリテーションや手術をすれば改善する可能性があるにも関わらず、初期治療をうけた病院での治療が終了してしまい、これ以上は治らないとあきらめている患者さんを数多くみてきました。当院では年間100人以上の患者さんが手足の変形・ひきつれの治療をうけています。ご自身の手足の変形・ひきつれが、どのような治療・期間で、どの程度改善する可能性があるのか、外来で情報提供いたします。お気軽に外来でご相談ください。

手足の変形・ひきつれ

図5. 皮膚のひきつれが原因で指が伸ばしづらい患者さんの治療経過

生まれながらの手足の異常(先天異常)

多指症(指の本数が多い)(図6)、合指症(2本の指がくっついている)、巨指症(指が大きい)、裂手症(指の間の切れ込みが深い)、斜指症・屈指症(指が曲がっている)、短指症・低形成(指が小さい)など、様々な機能・形態の個性をもったお子さんがいます。その子が将来、使いやすい手指をきれいにつくる手術をおこなっています。また、生まれながらに手や指がないお子さんに電動義手を提供するプロジェクトもすすめています。

生まれながらの手足の異常

図6. 多指症:きずあとが目立ちずらいように手術します

手足のコブ・しこり

手足のコブやしこりの原因は様々です。1番多いのは、腫瘍です。例えば、皮膚のおでき、関節の袋が飛び出たガングリオン(図7)、脂肪の塊であれば脂肪腫、神経の腫瘍であれば神経鞘腫、青い膨らみは血管腫を疑います。手足は腱・神経・血管など重要な構造物が密集していますので、専門知識のある医師が、顕微鏡または拡大鏡でみながら、愛護的な手術手技(atraumatic surgeryと呼びます)で必要最小限な組織損傷にとどめた手術をすることで、術後の手足の動きがよく、ひきつれ・痛み・しびれを最小限にとどめることができます。

手足のコブ・しこり

図7. 腫瘍は顕微鏡や拡大ルーペを使いながら愛護的atraumaticに摘出します

また、手指のコブで悩んでいる多くの患者さんは変形性関節症(ヘバーデン結節)が原因であることが多いです。手指の変形性関節症はリウマチと間違われることが多いですが、全く異なる病気(体質)です。手指の変形性関節症は、(a)関節が痛い、(b)変形・コブ(見た目の悪化)、(c)関節の動きが悪くなるという3つの症状がでるのが特徴(図8)で、30代後半〜70代の女性の患者さんが多い受診されます(もちろん男性患者さんもいます)。ちなみに(b)の関節のコブはヘバーデン結節と名前がついており、一般的には”ヘバーデン”として認識されています。多くの患者さんが上記症状で悩んでいるにも関わらず、病院で「加齢による仕方のないもの」と説明を受け、適切な治療が受けられていないことが多いのが現状です。当院では、手指の変形性関節症にたいして保存治療〜手術まで、そして関節の痛みや変形を予防する日常生活のケアまで力をいれて診療をおこなっています。
最重症の患者さんは手術(関節固定・人工関節)が必要になることもありますが、多くの患者さんは保存的な治療で患者さんの悩みは改善します。具体的には、飲み薬(エクオール(エクエル)、漢方薬、痛み止め)、サポーター(鉛サーマルギプス、ヘバーデンリング)、関節内ステロイド注射・テープ、などが挙げられます。特に最近注目されているエクオール(エクエル)は手指の変形性関節症の原因として女性ホルモンの乱れに着目し、その乱れを改善することで手指の痛みを抑えます(70〜80%の患者さんに有効と言われています)。まずはお気軽にご相談いただけましたらと思います。

図8. 手指の痛みやコブ(ヘバーデン)は治療することができます

図9. コブ(ヘバーデン)をきれいにする手術

手足の痛み・しびれ

前述した変形性関節症は手指の痛みの主要な原因疾患であることが多いです。その他、腱鞘炎(ばね指・ドゥケルバン症候群)、手根管症候群、肘部管症候群などの治療をおこなっています。手足の痛みやしびれは首や腰に原因があることがあり、その場合は整形外科の専門の先生にご紹介させていただきます。痛みやしびれはまずは診断が重要ですので、まずは外来でご相談ください。

爪の痛み・変形

巻き爪や陥入爪に対する保存治療(テーピング、ワイヤー、靴・インソール指導)から、痛みにたいする応急処置(食い込んでいる爪を部分的に抜爪)、さらに根治術(爪を部分的に生えなくする)まで対応しています。また、外傷後の爪変形にたいして、創外固定をもちいた爪形体の改善、指長の調整治療もおこなっています。

巻き爪や陥入爪の治療

図10. 巻き爪や陥入爪の治療は、まず痛みのコントロールを最優先します

爪変形・指長の改善

図11. 小さな創外固定をもちいた爪変形・指長の改善

患者さんへのメッセージ

手足は日常生活において機能・整容の両面で非常に重要な役割を果たしています。そのため、治療に際しては機能・整容の両面の改善を同時に追求することが大切で、目指しているのは「痛みがなく、良く動く、きれいな手足」です。患者さんが最も困っていること(主訴)にたいして、直接的に解決するように心がけています。まずは外来でお気軽にご相談いただけたらと思います。

一覧に戻る

Accessアクセス

  • 日本医科大学付属病院

    日本医科大学付属病院 (東京都文京区)

  • 多摩永山病院

    多摩永山病院 (東京都多摩市)

  • 武蔵小杉病院

    武蔵小杉病院 (神奈川県川崎市)

  • 千葉北総病院

    千葉北総病院 (千葉県印西市)