専門外来のご案内
皮膚悪性腫瘍、軟部悪性腫瘍はいわゆる“がん”(癌)です。がんと言っても様々で、転移などすることなく治癒するものから命に関わるものまであります。気になる症状があれば専門外来を受診し、早期発見することで適切な治療を受けてください。
皮膚悪性腫瘍いわゆる皮膚癌ですが、内臓癌や軟部悪性腫瘍と違い皮膚に直接見ることが可能です。つまり早期発見が皆さんにも比較的容易であるということです。急に大きくなるできものや出血や染み出しのある皮膚の病気があればすぐに受診してください。
代表的な皮膚悪性腫瘍
悪性黒色腫:
皮膚を構成するメラノサイトと呼ばれる細胞にがんが発生する病気です。はっきりとした原因は不明ですが、白人に多い病気です。日本人には手足に発生することが多く、外的刺激の関連が示唆されています。多くは黒色であるのでほくろとの見分けがつかないことがありますが、盛り上がりや色味などを加味してダーモスコピーという拡大鏡での検査が必要になります。次第に大きくなるようなほくろがあれば専門機関を受診してください。
有棘細胞癌:
皮膚の角化細胞のがんです。ウイルスや長らく治らない傷から発生することが指摘されていますが、一般的には日光に当たりやすい場所(顔など)にできやすく、潰瘍(ジュクジュクとした見ため)を作ったり悪臭のするがんであるため早めに受診される方が多い印象があります。
基底細胞癌:
皮膚に黒く光るホクロのような見ためをしています。原因は不明ですが紫外線が当たりやすい場所(顔など)にできやすく日常最も多く診る癌です。他臓器やリンパ節に転移することは稀なので、しっかりと切除さえすれば問題になることがほとんどない癌です。
治療
臓器転移がない例では原則として手術により切除をします。リンパ節転移が疑われる場合、所属リンパ節の検査(センチネルリンパ節生検)を、リンパ節転移を認める場合はリンパ節郭清の手術や化学療法という抗がん剤による補助療法を行う場合もあります。他臓器への転移や広範囲にリンパ節転移を認めた場合は化学療法に加え放射線治療、外科治療を併用した集学的治療を行います。
腫瘍を切除した箇所が縫い閉じられずに大きな穴があいたままになる、あるいは強い引きつれが生じて整容的に満足のいく結果が得られない場合は植皮術(別の箇所から皮膚を削り取って移植する)や皮弁術(周りから皮膚だけでなく脂肪など厚い組織を移動して穴を埋める)を併用します。
軟部腫瘍は(脂肪、軟骨、骨、筋肉)などから発生するがんです。皮膚癌とは異なり、潰瘍や発赤など見ために現れることが少ないガンです。痛みなどの症状を伴うことがありますが、基本的には盛り上がった皮膚以外に目立った症状がないことが多いです。
原因は不明なことが多いですが、一部に遺伝的要因(Li-Fraumeni症候群、Gradner症候群、von Recklinghausen病など)、化学薬品や放射線被曝などの関連が指摘されています。
検査
生検
症状を伴う、急速に大きくなるなどの腫瘤は悪性の可能性を考えて、針や切開を用いて一部組織を摘出し、細胞の検査をします。
MRI
腫瘍と周囲の血管や神経との位置関係を把握するほか、造影剤を用いた検査を行い良性か悪性かを画像診断します。
転移
軟部悪性腫瘍は肺や肝臓やリンパ節に転移することがあります。CT検査などで遠隔転移を調べます。
ステージ分類
Stage Ⅰ: | G1-2 | T1a-b | N0 | M0 |
---|---|---|---|---|
G1-2 | T2a | N0 | M0 | |
Stage Ⅱ: | G1-2 | T2b | N0 | M0 |
G3-4 | T1a-b | N0 | M0 | |
G3-4 | T2a | N0 | M0 | |
Stage Ⅲ: | G3-4 | T2b | N0 | M0 |
Stage Ⅳ: | AnyG | AnyT | N1 | M0 |
AnyG | AnyT | N0 | M1 |
AJCC Staging for soft tissue sarcoma
Gは病理(細胞の検査)
Tは腫瘍の大きさ
Nはリンパ節転移の有無
Mは遠隔転移の有無
治療